現在の診療ガイドライン作成では「ある疾患の患者に, ある治療を行った場合, 行わない場合に比べて, どうなるのか」 (PE (I) CO: Patient, Exposure (Intervention), Comparison, Outcome) という一般臨床におけるクリニカルクエスチョン (clinical question; CQ) を用いることが求められている。
目的: 一般開業歯科医師らに顎関節症治療に対するアンケートを実施し, 顎関節症のどの症状に対して, どのような治療方法が有効かというCQに関して収集し, 解析すること。
対象および方法: アンケート収集は日本歯科医師会が実施し, われわれは個人情報を排した2次データを解析した。対象者は日本歯科医師会一般会員とその施設に勤務する会員および非会員とし, 原則的に系統抽出で一般会員数の1/10を, 年齢群ごとに抽出した。用語の統一は著者らの1人がSPSS社製統計ソフトのテキストマイニングを用いて類似用語をまとめた。
結果: 送付者は5, 999名で, 回収率は23.5%, 1, 412名であった。CQは合計4, 423問で, 不適切CQ (353問) は解析から除外した。その結果, 治療法別有効解析CQ数は4, 070問であった。主たる症状 (3%以上) に対して選択されていた主たる治療法 (5%以上) は32種であった。ガイドライン作成ではこれらの組合せが必要になるであろう。
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