Cephaloridinb (CER), Cephalothin (CET), Cefazolin (CEZ) などのCephalosporin C系抗生物質は, グラム陰性桿菌, 陽性球菌に強い抗菌力をもち, 毒性も比較的低く, 新生児への投与も可能であるなど, 小児科領域での感染症に広く使われているが, β-Lactamaseで不活化されるため, 最近, 耐性菌が増加しつつある。このような背景からβ-Lactamaseに対して安定な薬剤の開発が望まれていた。その結果, 新らしくCephamycin系抗生物質が合成された。Cephamycin糸は, Cephem環の7α 位にMethoxy基を導入することによりβ-Lactamaseに耐性をもつている他, Indole陽性
Proteus, Serratia, 耐性
Escarichia coliなどにも抗菌力をもち, 毒性も低いことが知られている。
Cefoxitin (CFX) は, Cephamycin系の最初のものとして, 米国Merck Sharp & Dohme Research Laboratoriesによつて開発され, 化学名はSodium (6R, 7S)-3-(carbamoyloxymethyl)-7-methoxy-8-oxo-7-[2-(2-thienyl) acetamido]-5-thia-1-azabicyclo [4, 2, 0] oct-2-ene-2-carboxylateで, 構造式もCephalosporin C系 (CEPs系) とは, やや異なつた構造である。CFXの特徴は, 先にものべたようにβ-Lactamaseに安定のため, グラム陰性菌に対してはCEZと同程度の抗菌力を示すが, CEZ耐性のものには優れた抗菌力をもつているとされている。一方, グラム陽性菌には, CET, CEZより劣るとされている。また血中濃度推移はCETよりやや長いが, CER, CEZなどよりは著明に短いとされている。今回, 我々はCFXを小児科領域の感染症に使用し, 基礎的, 臨床的検討をおこなつたので報告する。
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