日本における政治リテラシー解釈では、ややもすれば、最も重要な要素である市民の政治技術(ハウツー)が捨象されてきた。日本の政治学を見ても、丸山眞男がすでに1960年に「市民の立場から状況を操作する技術としての政治学」を提唱していたにもかかわらず、市民の政治技術論はほとんど発展しなかった。対照的に、市民活動家が政治技術に触れた書籍を数多く公刊してきた。日本の政治学は、そうした実践知を踏まえ、市民の政治技術論を構築していかなければならないであろう。ユーザー・フレンドリーな政治技術を築くためには、観察者(政治学者)の三人称的視座を実践者(市民)の一人称的視座に転換することが必要であろう。また、確固たる理論を築くためには、我々になじみの深い事例研究、理論研究、そして実験研究を活用することができるであろう。
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