症例は87歳の女性で,直腸癌の診断でロボット支援下Hartmann手術を施行した.術後6日目に腰痛が出現し,CTで感染性大動脈瘤と多発肝膿瘍を認めた.血液培養よりKlebsiella pneumoniaeを検出し抗生剤加療を行った.術後14日目のCTで大動脈瘤拡大を認め,切迫破裂と診断し緊急でステントグラフト内挿術を施行した.その後の経過は良好で術後46日目に独歩退院した.Klebsiella pneumoniaeは消化管内の常在菌で弱毒菌であり,腸管授動や切離・ストマ造設時の操作による菌血症に加え,患者因子,手術による侵襲などの要素が加わって敗血症となり,大動脈壁への感染と多発肝膿瘍を生じたと考えた.救命可能であった大腸癌術後早期に感染性大動脈瘤,多発肝膿瘍を発症した症例を報告する.
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