文部科学省が, 我が国の大学入試の行政運営における公正の確保と透明性を図る観点から, 大学入学者選抜実施要項等として策定・公知し, 大学受験者やひいては国民の権利利益の保護に資することにしている。こうした文部科学省が任務や所掌事務の範囲内で, その目的を達成するために行っている行政作用が, 大学入学者選抜の実施主体である大学側において, 現実的には完全に遵守されていない実態もある。この要項等を遵守しなければ, 我が国の大学入学者選抜の信頼を根底から揺るがしかねない由々しい問題に発展する可能性がある。そこで, 大学側の違反の実態を明らかにするとともに, 大学入学者選抜に関する高校の意見を調査した結果を示し, 行政行為の遵守の重要性について論究する。
抄録全体を表示