東北6県の産業看護職を対象に産業看護活動とその評価に関する調査を実施した. 1998年1月〜2月郵送によるアンケート調査を約300通送り, 132通の回答があった. 職種は保健婦66人, 看護婦57人で, 活動期間は10年以下がほぼ半数を占めていた. 70%以上が役付けを持っていなかった. 上司の職種は事務系が半数以上を占め, 同僚の看護職がいない人が約4割であった. 専属産業医がいる事業所は4割, 嘱託産業医がいる事業所は6割であった. 産業医との連携が良いとするのは, 前者で6割, 後者が8割であった. 業務全体の中で産業看護活動の占める割合が9割以上占める人は, 3割強にとどまった. その業務内容は, 健康診断, 健康相談, 企画立案, 健康教育等であった. 現状に満足していない人が8割であった. その理由は業務内容, 待遇, 対人関係の順であった. 産業看護活動の計画・総括は, 個人・事業所共に7割前後実施していた. 産業看護活動の評価については, 産業看護職側と産業看護職側からみた事業所側の指標を検討した. 産業看護職が推察する事業所側の指標は, 数的に表わす, 例えば健康診断の有所見率, 欠勤等結果として生産性に反映し得ているかどうかを期待している回答が目立っていた. それに対し, 産業看護職側は, 事業所側の指標について, 産業保健活動の経済的評価として肯定的に受け止めつつ, その経過(プロセス)も評価の対象に含めるべきであり, 更に労働者の保健行動の質的・量的変化や健康観にも大きな意味付けをもたせた指標を求めていることが示された.
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