症例は56歳,女性.入院1ヶ月前より腰背部痛があり,入院21日前に背部の指圧を受けた.入院10日前より発熱・食欲不振が持続し,入院2日前に近医受診し,高血糖,白血球増加,白血球尿を認めた.糖尿病,腎盂腎炎と診断され当院紹介となった.過去の糖尿病歴はなかった.入院時,発熱,左腰部痛,白血球尿を認め,白血球数2.8×10
4/μ
l, CRP 20.6mg/d
l,血糖509mg/d
l, HbA
1C 12.4%であった.急性腎盂腎炎と診断し,抗生剤(MEPM)投与を開始した.血液検査所見は改善したが,第5病日に腰背部痛が悪化し臥床困難となった.頚胸椎CT・MRIで左脊柱起立筋に膿瘍を認め,第7病日に膿瘍ドレナージを施行し,以後3週間の経過で解熱,全身状態の改善を認めた.化膿性筋炎は,診断・治療が遅れると重篤な全身性の病変にも進展する疾患であり,積極的に疑うことが重要である.指圧後に発症している点も注目すべき病態と思われ文献的考察を加えて報告する.
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