生時より発育が不良で, 4日間の罹病後に死亡した80日齢の子豚1例を病理学的および細菌学的に検索した.病豚は食欲不振および活力の低下を示した後, 沈鬱および困難な起立状態に陥った.剖検により, 全身の鬱血および両側の房室弁に主座する疣贅性心内膜炎が観察された.組織学的に, 微小膿瘍形成を伴うグラム陰性小桿菌の栓塞が, 中枢神経系を含む全身諸組織の毛細血管および小動脈に多発していた.細菌学的に,
Actinobacillus equuliが心内膜病変部, 脳および他の諸臓器から純培養的に分離された.これらの検査結果から,
A.equuli感染により菌血症および心内膜炎が引き起こされ, その後に中枢神経系に化膿性病変が波及したと考えられた.高日齢時に発病したことが本症例に亜急性経過を辿らせた一因と推察された.
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