土地区画整理事業の実施は,10 年以上の長い期間と関係する住民の多大な努力および大きな資金を必要とする.本研究では,対象として浜松市東第二土地区画整理事業を選び,次の研究を行った.最初に,1993 年と 2008 年の二つの住宅地図を比較して,二つの時点の間の建物所有者の地区内移動や地区外への転出移動,新たな地区外からの転入移動者を同定した.次に,研究対象地域のうち,東第二中北ブロックに居住する全ての住民に対してアンケート調査を実施し,事業下の住民の生活や意識,移転状況の違いと住民意識の形成との関係を分析した.および細川(2002)による2000 年実施のアンケート調査結果と比較して,事業下の住民意識の変化を明らかにした. これらの分析から次のような結論を得た.1)1993 年時点の建物所有者のうち,2008 年時点でこの地区内にとどまった建物所有者の割合はわずかに25%であった.2)2008 年時点の街区ごとの地区内残留率の割合には大きな違いがあり,これが事業に対する住民意識の形成に影響を与えていた.3)アンケート結果から,地区住民が感じている最大の問題は,この地区の住民減少で,これが地元コミュニティでの人間関係の弱体化を招いている.4)住民には,事業中の仮移転の期間,仮移転の居住状況で大きな違いがあり,これらが住民の事業に対する意識の形成に大きな影響を与えていた.5)2000 年~2008 年の間に,住民が感じる事業への意識,事業のメリット・デメリットなども変化していた
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