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クエリ検索: "浜田涼"
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  • 島村 奈那, 大島 洋平, 佐藤 晋, 宮坂 淳介, 吉岡 佑二, 中谷 未来, 細江 拓也, 村尾 昌信, 濱田 涼太, 佐藤 寿彦, 伊達 洋至, 松田 秀一
    理学療法学Supplement
    2017年 2016 巻 P-RS-02-5
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/24
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    【はじめに,目的】

    肺癌肺切除術後では運動耐容能が低下することが報告されている。癌患者において術後の運動耐容能を維持することはPerformance Status(PS)の維持に繋がり,術後の治療選択やQOLの維持に非常に重要な意味を持つ。運動耐容能の指標として,6分間歩行距離(6MWD)400mは屋外歩行自立可否の目安として実臨床で用いられているが,肺癌肺切除患者においても術後6MWDが400m以下の症例は退院後の活動性低下からPS低下の危険性が高いと考えられるため,運動耐容能が6MWDで400m以下に低下しないようにすることは重要である。そこで今回の研究の目的は肺癌肺切除術後患者の術後6MWDが400mを下回る症例の特徴を明らかとすることとした。

    【方法】

    対象は当院にて2015年1月~12月に原発性肺癌の診断にて肺切除術を施行した136名のうち,術前6分間歩行距離(6MWD)が400m以上であった90名とした。術後運動耐容能に影響する因子を,術前因子(年齢,BMI,性別,喫煙指数,術前6MWD,術前6MWT最低SpO2,DMの有無,術前Alb値,術前%VC,術前EFV1%,術前DLCO,術前PCF),手術因子(術式,手術時間,術中出血量,組織型,癌のstage),術後経過因子(術後最大CRP,術後Afの有無,術後3日目NRS)に分類し診療記録より後方視的に調査した。さらに退院時6MWDが400m以下であった群(A群)と400m以上であった群(B群)の2群に分類し比較した。統計には各評価項目の両群間の比較に対応のないt検定およびカイ二乗検定を用い,得られた結果にROC解析を行いカットオフ値を算出した。統計学的有意基準は5%未満とした。

    【結果】

    両群間の割合はA群32名(36%),B群58名(64%)であり,年齢,BMI,性別は両群間で有意差を認めなかった。各項目の2群間の比較では,術前6MWD(A群:470.8±49.5m,B群:523.5±56.7m,p<0.01),術前%VC(A群:98.6±14.6%,B群:105.8±12.2%,p<0.01),術前PCF(A群:308±70.1L/min,B群:354.8±104.6L/min,p=0.02)がA群と比較してB群で有意に高値であった。一方,その他の項目については,両群間で有意差を認めなかった。%VCのカットオフ値は104.0%(感度72.3%,特異度87.0%)であった。

    【結論】

    本研究の結果から,術前6MWD,術前%VC,術前PCFが低下している症例では,術後6MWDが400m以下に低下しやすく,退院後屋外歩行が困難となり活動性が低下する危険性が高まることが明らかとなった。%VCのカットオフ値は104.0%であり,感度と特異度が他の指標よりも高かった。そのため,特に肺活量が正常域でも低肺活量の症例では術後の運動耐容能低下およびPSの低下に注意する必要がある。

  • 南角 学, 島村 那奈, 村尾 昌信, 濱田 涼太, 黒田 隆, 池口 良輔, 後藤 公志, 松田 秀一
    理学療法学Supplement
    2016年 2015 巻 O-KS-15-6
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
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    【はじめに,目的】変形性股関節症(以下,股OA)患者の股関節正面のX線画像から得られる有用な情報として股関節脱臼が挙げられる。股関節脱臼は大腿骨と臼蓋の構造的な破綻の原因となるとともに股関節の安定性に関わるその他の因子の機能にも影響を及ぼすと考えられ,これらを考慮しながら理学療法を実践することが重要である。しかし,股OA患者の股関節脱臼と股関節の安定化機構に関わる股関節周囲筋や股関節外転トルクとの関連性を検討した報告は見当たらない。本研究の目的は,股OA患者の股関節脱臼が股関節機能に与える影響を明らかとすることである。【方法】片側の進行期または末期の股OA患者65名(年齢62.8±9.5歳,男性8名,女性57名)を対象とした。当院整形外科医の処方により撮影された股関節正面のX線画像とCT画像から股関節脱臼の指標であるCroweの分類と股関節周囲筋の筋断面積を算出した。股関節周囲筋の筋断面積の測定は,仙腸関節最下端での水平断におけるCT画像を採用し,画像解析ソフト(TeraRecon社製)を用いた。対象は梨状筋,腸腰筋,中殿筋,大殿筋とし,得られた筋断面積から患健比×100%を算出した。また,徒手筋力計(日本MEDIX社製)を用いて等尺性の股関節外転運動時の関節トルクを測定し,得られた値から患健比×100%を算出した。その他の機能の評価として,Timed up and go test(以下,TUG)を行った。さらに,Croweのtype分類により群分けをし,各type間での測定項目の比較には一元配置分散分析とTukeyの多重比較を用い,統計学的有意水準は5%とした。【結果】Crowe分類はtype0が33名,typeIが19名,typeIIが13名であり,年齢,性別,BMIについてはtype間で有意差を認めなかった。多重比較の結果,中殿筋(type0:82.1±11.4%,typeI:72.0±10.8%,typeII:50.4±9.5%)と腸腰筋(type0:79.7±13.7%,typeI:61.5±9.1%,typeII:44.9±7.5%)と梨状筋(type0:81.5±11.3%,typeI:64.7±14.0%,typeII:55.8±8.7%)については,各type間で有意差を認めた。また,股関節外転トルクは,type0が79.5±15.8%,typeIが76.6±13.0%,typeIIが66.2±15.6%であり,type0と比較してtypeIIIが有意に低い値を示した。一方,大殿筋とTUG-testについては各type間で有意差を認めなかった。【結論】本研究の結果より,関節変性に伴い股関節脱臼が進んでいる股OA患者では,歩行能力よりも股関節の安定性に関わる中殿筋,腸腰筋,梨状筋に顕著な筋萎縮を認めるとともに股関節外転トルクの低下もみられた。以上から,股関節脱臼が顕著な症例では筋の作用による大腿骨と臼蓋の安定化が欠如するとともに股関節外転トルクも低下していることから,これらを考慮した介入が必要であると考えられた。
  • ―初回移植と再移植の比較―
    濱田 涼太, 宮坂 淳介, 西村 純, 吉田 路子, 中谷 未来, 南角 学, 高折 晃史, 近藤 忠一, 池口 良輔, 松田 秀一
    理学療法学Supplement
    2017年 2016 巻 O-YB-06-5
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/24
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    【はじめに,目的】

    造血器悪性腫瘍に対する造血幹細胞移植後の再発に対する治療選択肢は広がりつつあるが,再移植を行う場合には,初回移植の影響や再寛解を目指す化学療法のため治療期間が長期化する。そのため,再移植症例においては初回移植症例と比較して,移植前での身体機能や移植後の身体機能の回復状況に変化が生じている可能性が考えられる。再移植症例に対しても適切な理学療法を展開していくためには,それらを把握することが重要であるが,再移植症例の身体機能の回復を調査した報告は少ない。本研究の目的は,再移植症例における移植前時点での身体機能ならびに,移植後にどのような機能回復の特徴があるのかを初回移植症例と比較し明らかにすることである。

    【方法】

    対象は2010年8月から2016年5月までに当院にて造血幹細胞移植を施行し,移植前と退院時のデータに欠損がない70名(初回移植56名:A群,再移植14名:B群)であった。対象者は移植前後に同様のリハビリテーション介入を行っている。調査項目は,患者属性(性別,年齢,BMI,Hb,TP,%FEV1),移植後経過(GVHDの有無,生着日数,移植後在院日数),身体機能(握力,膝関節伸展筋力,6分間歩行距離)とした。膝関節伸展筋力はIsoforce GT330(OG技研社製)により等尺性筋力を測定し,トルク体重比(Nm/Kg)にて算出した。各測定項目の両群間の比較には,カイ二乗検定,対応のないt検定を行い,各群の移植前後の各測定項目の比較には対応のあるt検定を用いた。

    【結果】

    患者属性と移植後経過については,両群間で有意差が認められなかった。移植前の膝関節伸展筋力(A群2.09±0.72 Nm/Kg,B群2.61±0.78 Nm/Kg)は,B群のほうが有意に高い値を示した。また,各群の移植前後の各測定項目の変化として,A群のBMI(移植前21.8±3.0 kg/m2,移植後19.8±2.7 kg/m2),握力(移植前28.6±9.3kg,移植後24.5±7.8kg),TP(移植前6.4±0.5g/dl,移植後5.9±0.5g/dl)と,B群のBMI(移植前20.2±2.8 kg/m2,移植後19.2±2.3 kg/m2),握力(移植前32.5±7.7kg,移植後26.9±6.2kg)が有意に低下した。また,A群の膝関節伸展筋力(移植前2.08±0.70Nm/kg,移植後2.01±0.72Nm/kg)と6分間歩行距離(移植前492.3±94.3m,移植後471.8±95.7m)とB群の膝関節伸展筋力(移植前2.61±0.78Nm/kg,移植後2.34±0.66Nm/kg)と6分間歩行距離(移植前473.2±69.0m,移植後449.1±86.8m)は,両群ともに移植前後で有意差を認めなかった。

    【結論】

    本研究の結果では,両群間に生着日数,在院日数に有意差はなく,各身体機能の経過についても同様の変化を示した。よって,再移植症例に対してもリハビリテーションを実施することで,初回移植症例と同様の結果が得られることが示唆された。再移植症例において移植前時点の膝関節伸展筋力は高い値を示しており,影響を与えている因子を引き続き調査していく必要があると考えられた。

  • 南角 学, 濱田 涼太, 池口 良輔, 伊藤 宣, 布留 守敏, 栗山 新一, 中村 伸一郎, 松田 秀一
    理学療法学Supplement
    2017年 2016 巻 P-KS-24-1
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/24
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに,目的】人工膝関節置換術(以下,TKA)後における膝関節屈曲拘縮は歩行能力の低下を招くことから,術後の膝関節伸展の可動域(以下,ROM)に対する評価や介入は重要である。TKA術後の理学療法において,効率的に膝関節伸展ROMの改善に取り組むためには,術後の膝関節屈曲拘縮の原因となる因子を明確にすることが必要であると考えられる。しかし,TKA術後の膝関節屈曲拘縮の原因となる要因を詳細に検討した報告は少なく,不明な点が多い。本研究の目的は,TKA術後1年における膝関節屈曲拘縮の有無に関連する因子を術前の評価項目から検討することである。

    【方法】内側型の両側変形性膝関節症により片側TKAを施行された53名を対象とした(反対側の手術は未実施)。術前の測定項目として,両側の膝関節屈曲・伸展のROM,膝関節屈曲・伸展筋力と脚伸展筋力,Timed up and go testを計測した。また,当院整形外科医の処方により撮影された術前の立位レントゲン画像を用いて,両側の内反角(大腿骨頭-膝中心を結ぶ線と脛骨の骨軸と平行で地面と垂直な線)と骨盤腔の縦径からKitajimaらの回帰式を用いて骨盤前傾角度を算出した。さらに,TKA術後1年での術側の膝関節伸展のROMを測定し,伸展角度が0̊であった症例(以下,A群)と5̊以上の伸展制限を認めた症例(B群)の2群に分類した。統計は対応のないt検定,ロジスティック回帰分析を行った。

    【結果】両群の割合はA群28名(52.8%),B群25名(47.2%)であり,年齢,性別,BMIについては両群間で有意差を認めなかった。非術側の内反角はA群174.0±3.8°,B群169.5±4.7°であり,B群がA群よりも有意に低い値を示した。骨盤前傾角については,A群27.7±5.9°,B群18.2±5.3°であり,B群がA群よりも有意に低い値を示した。一方,その他の評価項目については,両群間で有意差を認めなかった。さらに,ロジスティック回帰分析より,術後1年の膝関節の伸展制限を規定する因子として,術前の骨盤前傾角度(オッズ比1.31,95%信頼区間1.14-1.51)と非術側の膝内反角(オッズ比0.97,95%信頼区間0.95-0.97)が有意な項目として選択された。

    【結語】本研究の結果より,術前の立位時に非術側の膝関節の内反変形が大きく,骨盤後傾位での立位姿勢を呈している症例では,TKA術後1年では膝関節屈曲拘縮が残存しやすいことが明らかとなった。非術側の内反変形が大きい場合では,術後に非術側が術側と比較して下肢長が短くなるために,術側の膝関節を屈曲位にして対応するために膝関節屈曲拘縮が起こりやすいと考えられた。また,骨盤後傾位での立位姿勢を呈している症例では,ハムストリングスが短縮位していることから,膝関節屈曲拘縮が生じやすいと考えられた。以上から,TKA術後の膝関節屈曲拘縮の改善を効率的に図っていくためには,これらの結果を考慮した理学療法プログラムが必要であると考えられた。

  • 島村 奈那, 南角 学, 西川 徹, 細江 拓也, 村尾 昌信, 濱田 涼太, 黒田 隆, 宗 和隆, 後藤 公志, 池口 良輔, 松田 秀一
    理学療法学Supplement
    2017年 2016 巻 P-MT-49-1
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/24
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    【はじめに・目的】

    股関節疾患患者では,股関節の変性と脊椎・骨盤のアライメント異常は相互に関連していることが明らかとされている。このため股関節疾患患者に対して理学療法を展開していくためには,体幹機能や脊椎・骨盤のアライメントにも着目した評価や介入が必要となる。しかし,股関節疾患患者の脊椎・骨盤のアライメント異常が筋力や関節可動域などの下肢機能ならびに動作能力にどのように影響を及ぼしているかを詳細に検討した報告は少なく,不明な点が多い。そこで,本研究の目的は,股関節疾患患者の骨盤アライメントが下肢機能および動作能力に及ぼす影響について検討することとした。

    【方法】

    対象は片側罹患の股関節疾患患者52名(変形性股関節症36名,大腿骨頭壊死12名,人工関節のゆるみ3名,関節リウマチ1名)であった。当院整形外科医の処方により撮影された立位レントゲン画像からkitajimaらによる回帰式を用いて,骨盤前傾角を測定した。また,動作能力の評価として,10m歩行速度,5回立ち上がりテスト,Timed up and go test(以下,TUG)を実施した。下肢機能の評価として,股関節屈曲角度,股関節伸展角度,股関節外転筋力,脚伸展筋力,膝関節伸展筋力,日本整形外科学会股関節疾患評価質問票(JHEQ)を測定した。股関節外転筋力は徒手筋力計(日本MEDIX社製),脚伸展筋力と膝関節伸展筋力はIsoforce GT-330(OG技研社製)にて等尺性筋力を測定した。さらに,先行研究より骨盤アライメントは健常者平均27°を基準とし,骨盤前傾角が27°以下の群(A群)と27°以上の群(B群)の2群に分類した。統計には,各評価項目の両群間の比較に対応のないt検定とMann-WhitneyのU検定を用い,統計学的有意基準は5%未満とした。

    【結果】

    両群の割合は,A群16名(30.8%),B群36名(69.2%)であり,年齢とBMIは両群間で有意差は認めなかった。各評価項目の2群間の比較では,5回立ち上がりテストは,A群(10.6±2.0秒)と比較してB群(9.4±1.8秒)で有意に速かった。また,健側の膝関節伸展筋力は,A群(2.27±0.87Nm/kg)と比較してB群(1.76±0.78Nm/kg)で有意に低値であった。一方,その他の評価項目については,両群間で有意差を認めなかった。

    【結論】

    本研究の結果から,股関節疾患患者で骨盤後傾位の症例では,骨盤前傾位の症例と比較して,健側の膝関節伸展筋力が大きいにもかかわらず,立ち上がり能力が低下していることが明らかとなった。これは立ち上がり動作の臀部離床までの重心前方移動が骨盤後傾位であるほど困難となるからであると考えられる。以上から,股関節疾患患者の立ち上がり動作能力の向上には,立ち上がり動作時の臀部離床までの前方への重心移動を促すための骨盤前傾・腰椎前彎の動きを獲得するとともに実際の立ち上がり動作でも骨盤の動きを十分に意識することが必要となると考えられた。

  • 村尾 昌信, 南角 学, 細江 拓也, 島村 奈那, 濱田 涼太, 後藤 公志, 黒田 隆, 松田 秀一
    理学療法学Supplement
    2017年 2016 巻 P-MT-10-3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/24
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    【はじめに,目的】

    人工股関節全置換術(以下,THA)は,歩行能力の改善に対して有効な治療法である。THA術後の理学療法によって,獲得できる歩行速度は術後や退院後のADL能力を決定することから,歩行速度に着目した評価や介入は重要である。しかしながら,THA後の歩行速度の経過は個人差が大きく,術後理学療法プログラムを検討する上では,歩行速度を規定する術後因子を明らかにすることが重要である。本研究の目的は,初回片側THA術後6ヶ月の歩行速度を規定する因子を明らかにすることである。

    【方法】

    対象は当院にて初回片側THAを施行した女性68名(年齢59.7±11.4歳,BMI22.2±3.6kg/m2)であった。対象者は,同様の術後理学療法を実施した。術後6か月の評価項目は,両側の股関節屈曲・外転の関節可動域,股関節外転・膝関節伸展・脚伸展の筋力であった。股関節外転筋力は徒手筋力計(日本MEDIX社製)を,膝関節伸展筋力と脚伸展筋力はIsoforce GT-330(OG技研社製)を用いて等尺性筋力を測定した。股関節外転筋力と膝関節伸展筋力はトルク体重比(Nm/kg)を,脚伸展筋力は体重比(N/kg)を算出した。また,THA後6か月の歩行速度の指標としてTimed up and go test(以下,TUG)を実施し,さらに対象をRosemaryらが示したTUGの年代別健常者平均値より速い者をA群,遅い者をB群に分類した。術前の各測定項目について対応のないt検定を行い,有意差が認められた項目を説明変数,歩行速度を目的変数として投入したロジスティック回帰分析を行った。

    【結果】

    両群の割合はA群33名(49%),B群35名(51%)であった。術側については,股関節屈曲可動域(A群95.8±8.9°,B群89.9±11.3°),股関節外転可動域(A群27.4±7.9°,B群21.9±6.3°),股関節外転筋力(A群0.87±0.26Nm/kg,B群0.72±0.31Nm/kg),膝関節伸展筋力(A群1.70±0.61 Nm/kg,B群1.42±0.56Nm/kg),脚伸展筋力(A群9.41±3.27 N/kg,B群6.93±2.25N/kg)の全ての項目でA群がB群よりも有意に高値を示した。健側については,股関節外転筋力(A群0.94±0.25 Nm/kg,B群0.78±0.21Nm/kg)と脚伸展筋力(A群13.06±4.21N/kg,B群9.76±3.09N/kg)で有意が認められた。ロジスティック回帰分析の結果,歩行速度を説明する因子として術側の股関節屈曲可動域,脚伸展筋力が有意な項目として抽出された。

    【結論】

    本結果より,初回片側THA後6か月では約5割の症例で,健常人と同等の歩行速度まで回復することが明らかになった。また,THA術後に健常者と同等以上の歩行速度を獲得するためには,術側の関節可動域と筋力の良好な回復が必要であり,特に術側の脚伸展筋力といった多関節運動による発揮筋力が重要であることが明らかとなり,術後の理学療法介入の一助になり得ると考えられた。

  • 細江 拓也, 南角 学, 濱田 涼太, 黒田 隆, 宗 和隆, 後藤 公志, 池口 良輔, 松田 秀一
    理学療法学Supplement
    2017年 2016 巻 O-MT-15-4
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/24
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    【はじめに,目的】人工股関節置換術(以下,THA)術後における股関節外転筋力の機能低下は歩行能力の低下を招くため,術後早期から股関節外転筋力に着目した評価やトレーニングが必要である。このことからTHA術後早期の股関節外転筋力の回復に関連する因子を把握しておくことは,術後のリハビリテーションを実施していく上で重要である。McGroryらはFemoral Offset(以下,FO)がTHA術後平均1年9ヶ月における股関節外転筋力に影響する因子と報告をしているが,術後早期の股関節外転筋力に影響を及ぼす因子に関しては不明な点が多い。本研究の目的は,THA術後早期の股関節外転筋力の回復に影響を及ぼす因子を術前機能及び術前・術後の画像所見から明らかにすることである。

    【方法】変形性股関節症によりTHAを施行された75名(年齢64.4±9.2歳,BMI22.8±3.5kg/m2,男性11名,女性64名)を対象とした。術前機能として股関節屈曲・伸展・外転角度,股関節痛(VASを用いて評価)を測定し,画像所見として当院整形外科医の処方により撮影された股関節正面のX線画像から,術前の骨盤前傾角度,Crowe分類,手術後のFO,脚延長量,脚長差を測定した。骨盤前傾角度については,骨盤腔の縦径からKitajimaらの回帰式を用いて算出した。さらに,術前と術後2ヶ月に股関節外転筋力を徒手筋力計にて測定し,術前と比較して術後2ヶ月に股関節外転筋力が増加した群(以下,増加群),減少した群(以下,減少群)の2群に分類した。統計解析はχ2検定,対応のないt検定,マン・ホイットニーのU検定,多重ロジスティック回帰分析を用い,有意水準は5%未満とした。

    【結果】増加群51名(68.0%),減少群24名(32.0%)で,年齢,BMI,性別については両群間で有意差を認めなかった。骨盤前傾角度は増加群33.0±4.8°,減少群37.5±6.0°であり,増加群の方が減少群と比較して有意に小さい値を示した。また,非術側の股関節外転角度は増加群30.1±8.3°,減少群24.6±9.0°であり,増加群の方が減少群と比較して有意に大きい値を示した。その他の測定項目については両群間で有意差を認めなかった。さらに,股関節外転筋力を従属変数,骨盤前傾角度,非術側の股関節外転角度を独立変数とした多重ロジスティック回帰分析の結果,THA術後早期の股関節外転筋力の回復を規定する最も影響の強い因子として術前の骨盤前傾角度(オッズ比0.84,95%CI:0.74-0.94)が選択された。

    【結論】本研究の結果より,術前の骨盤前傾角度が大きい症例では,術後2ヶ月の股関節外転筋力の回復が不良であった。術前の骨盤がより前傾位であると股関節外転筋力の働きが低下するため,術後の股関節外転筋力の回復に影響を及ぼしたと考えられる。これらのことから,THA術後早期に効率的に股関節外転筋力の向上をしていくためには,骨盤がより前傾位となる原因の改善を図りながら,股関節外転筋力のトレーニングを実施していく必要性があると示唆された。

  • ―同年代の健常者より速くなるために必要な術側機能の検討―
    濱田 涼太, 南角 学, 細江 拓也, 布留 守敏, 伊藤 宣, 中村 伸一郎, 栗山 新一, 池口 良輔, 松田 秀一
    理学療法学Supplement
    2017年 2016 巻 O-MT-01-3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/24
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに,目的】

    人工膝関節置換術(以下,TKA)後の理学療法では,膝関節機能の回復を図りながら歩行能力の向上を目指す。一般に,理学療法により獲得できる歩行速度は術後や退院後のADL能力を決定することから,歩行速度に着目した評価や介入は重要である。TKA術後において,効率的に歩行速度の向上を図るためには術後の歩行速度に関連する因子を明確にすることが必要であるが,これらの因子を詳細に検討した報告は少ない。本研究の目的は,TKA術後1年における歩行速度に関わる因子を術側の機能から検討することとした。

    【方法】

    対象はTKAを施行し同様の理学療法を実施した女性119名(年齢72.4±8.9歳)であった。術後1年の評価項目として術側の膝関節屈曲・伸展可動域,術側の膝関節屈曲・伸展筋力,術側の片脚立位時間を測定した。膝関節屈曲・伸展筋力はIsoforce GT330(OG技研社製)により等尺性筋力を測定し,トルク体重比(Nm/kg)にて算出した。また,2011年度版Knee Society Score(以下,KSS)を使用し,術側の膝の状態と満足度,期待度,活動性を評価した。さらに,術後1年でTimed up and go test(以下,TUG)を実施し,対象をRosemaryらが示したTUGの年代別健常者平均値より速い者をA群,遅い者をB群に分類した。各測定項目の両群間の比較には,対応のないt検定とマン・ホイットニーのU検定を行い,有意差が認められた項目を説明変数,歩行速度を目的変数としたロジスティック回帰分析を行った。

    【結果】

    両群の割合はA群46名(39%),B群73名(61%)であった。術側の膝関節伸展可動域(A群-2.0±3.1°,B群-3.0±4.8°)と片脚立位時間(A群17.4±11.4秒,B群10.0±10.3秒)は,A群のほうが有意に大きい値を示した。術側の膝関節屈曲・伸展筋力はA群(屈曲0.67±0.83Nm/kg,伸展1.32±0.40Nm/kg)がB群(屈曲0.44±0.17Nm/kg,伸展0.98±0.33Nm/kg)よりも有意に高い値を示した。また,KSSのうち膝の状態(A群20.3±4.4点,B群17.7±5.3点),満足度(A群27.6±8.1点,B群23.1±8.3点),活動性(A群71.5±14.7点,B群52.8±18.5点)はA群がB群よりも有意に高い値を示した。一方,その他の項目は両群間で有意差を認めなかった。さらに,ロジスティック回帰分析の結果,歩行速度を規定する因子として,術側の膝関節伸展可動域,膝関節伸展筋力,KSS(膝の状態,活動性)が有意な項目として抽出された。

    【結論】

    本研究の結果,TKA術後1年で約4割の症例が同年代の健常者よりも歩行速度が速かった。さらに,これらの症例の特徴として,術側の膝の状態・膝関節伸展可動域・膝関節伸展筋力といった総合的な機能が良好であるとともに術後の活動性が高いことが示された。このようにTKA術後に歩行速度が健常人よりも速くなる条件としては,術側膝関節の総合的な機能の回復と術後の活動性の向上が必要であり,術後の理学療法介入の一助になり得ると考えられた。

  • 濱田 涼太, 宮坂 淳介, 西村 純, 吉田 路子, 南角 学, 高折 晃史, 近藤 忠一, 松田 秀一
    理学療法学Supplement
    2016年 2015 巻 O-YB-08-2
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】造血幹細胞移植(以下,HSCT)は造血器関連の腫瘍性疾患・遺伝性疾患に対する治療方法であり,移植後の生存率は長期化している。HSCT治療における無菌室(以下,CR)管理期間中では安静臥床を余儀なくされるため重度の廃用症候群を呈するリスクが高い。近年,HSCT患者の下肢を中心とした抗重力筋力の低下が指摘されており,予防を図るために多くの取り組みがされている。しかしながら,同じ抗重力筋に分類される体幹筋に着目した報告は少ない。本研究の目的は,HSCT後早期における体幹筋断面積と運動耐容能の変化を検討することである。【方法】当院にてHSCTを施行しCR管理前後にCT検査を施行した17名(男性13名,女性4名,年齢52.32±12.11歳)を対象とした。対象者は全例移植前よりリハビリテーション介入を行っている。体幹筋断面積はCT(Aquilion64,東芝メディカルシステムズ社)にてL3椎体レベルのaxial断面で腹直筋,側腹筋群(外腹斜筋+内腹斜筋+腹横筋),脊柱起立筋,大腰筋の筋断面積を画像解析ソフト(AquariusNETver4.4.6)を用い算出した。運動耐容能の評価として,CR管理前後に6分間歩行(以下,6MWT)を測定した。統計学的処理は,同一被験者内でCR管理前後の各体幹筋断面積,6MWTの比較としてウィルコクソンの符号付順位検定を用い,各体幹筋断面積と6MWTの関連性の検討にはそれぞれの変化率〔(移植後-移植前)/移植前*100〕を算出し,スピアマン順位相関係数を用いた。統計学的有意基準はすべて5%未満とした。【結果】本研究の対象者のCR滞在日数は,40.4±14.7日,CR管理期間中の理学療法の実施率は70±17%であった。脊柱起立筋の筋断面積はCR管理前1857.6±428.2mm2,CR管理後1590.6±379.0mm2で,CR管理前と比較してCR管理後では有意に低い値を示した。腹直筋,側腹筋群,大腰筋ではCR管理前後で有意差を認めなかった。筋断面積の変化率は腹直筋(0%),側腹筋群(-4.9%),大腰筋(0%),脊柱起立筋(-14.4%)であり,脊柱起立筋の筋断面積の変化率が有意に低い値を示した。6MWTはCR管理前476.6±96.5m,CR管理後388.6±74.2m,変化率-18.5%と有意に低下していたが,脊柱起立筋の筋断面積と6MWTの間には有意な相関は認められなかった(r=0.2)。【結論】本研究よりHSCT患者のCR管理前後における体幹筋の筋断面積の変化は,筋によって異なる傾向を示し,脊柱起立筋においてのみ有意な減少を示した。脊柱起立筋は抗重力筋に分類され,臥床による影響を受けやすい筋であることが先行研究で報告されている。身体活動性の低下が脊柱起立筋の筋断面積の低下に影響している可能性があり,今後の検討課題にしていく必要がある。また,脊柱起立筋の筋断面積の低下がCR管理後の運動耐容能に影響しているのかを検討したが関連は認めず,他の因子が影響していることが示唆された。
  • 村尾 昌信, 南角 学, 島村 奈那, 濱田 涼太, 後藤 公志, 黒田 隆, 松田 秀一
    理学療法学Supplement
    2016年 2015 巻 O-MT-19-5
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】人工股関節全置換術(以下,THA)は歩行能力の改善に有効であるとされる。臨床場面では,術前や術後早期から術後の長期的な運動機能を想定しながらADL指導を行うことが多い。近年,THA術後における運動機能の予後予測の検証は多くなされるようになり,より客観的に運動機能の回復が予測できるようになっている。しかし,ADLレベルの重要な指標となる歩行速度の回復に着目して予後予測を行った報告は見当たらず不明である。本研究の目的は,THA術後6か月の歩行速度が術前から予測できるかどうかを検討することである。【方法】対象は当院にてTHAを施行した後,同様の理学療法を実施した女性118名(年齢:60.6±10.6歳,BMI:22.5±3.5kg/m2)であった。術前の測定項目は,両側の股関節屈曲・伸展・外転の関節可動域,股関節外転・膝関節伸展・脚伸展の筋力であった。股関節外転筋力は徒手筋力計(日本MEDIX社製)を,膝関節伸展筋力と股関節外転筋力はIsoforce GT-330(OG技研社製)を用いて等尺性筋力を測定した。股関節外転筋力と膝関節伸展筋力はトルク体重比(Nm/kg)を,脚伸展筋力は体重比(N/kg)を算出した。また,THA術後6か月の歩行速度の指標として,Timed up and go test(以下,TUG)を実施し,さらに対象をRosemaryらが示したTUGの年代別健常者平均値より速い者をA群,遅い者をB群に分類した。術前の各測定項目について対応のないt検定を用いて群間比較を行い,有意差が認められた項目を説明変数,歩行速度を目的変数として投入し,ロジスティック回帰分析を行った。さらに,回帰分析により最も高いオッズ比が得られた項目に対してROC解析を行い,Cut off値を求めた。統計学的有意水準は5%未満とした。【結果】両群の割合はA群:44名(37%),B:群74名(63%)であった。t検定の結果,術側の股関節外転筋力と脚伸展筋力,非術側の股関節外転筋力,膝関節伸展筋力,脚伸展筋力については2群間で有意差が認められた。ロジスティック回帰分析の結果,歩行速度を予測する因子として非術側の膝関節伸展筋力(A群:1.77±0.63Nm/kg,B群:1.51±0.29Nm/kg),非術側の脚伸展筋力(A群:10.59±3.78N/kg,B群:7.46±1.58N/kg)が有意な項目として抽出された。それらの内,よりオッズ比(オッズ比:1.15)が高かった非術側の脚伸展筋力についてROC解析を行った結果,曲線下面積は0.73,Cut off値は9.66N/kg(感度64%,特異度76%)であった。【結論】本研究により,THA術後6か月では約4割の症例で,健常人と同等の歩行速度まで回復することが明らかとなった。さらに,術前における非術側の脚伸展筋力からTHA術後6か月における歩行速度が予測できることが明らかになった。この結果より,THA術後の歩行速度の回復を術前から予測するためには非術側を含めた評価が必要であるとともにADL指導や術後の歩行能力を説明する際の根拠となり得ると考えられる。
  • 島村 奈那, 南角 学, 濱田 涼太, 村尾 昌信, 黒田 隆, 後藤 公志, 松田 秀一
    理学療法学Supplement
    2016年 2015 巻 O-MT-03-5
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】人工股関節置換術(以下THA)後の理学療法では,関節可動域や下肢筋力の回復に合わせて日常生活に必要な動作を獲得することが重要である。そのためTHA術後の関節可動域や下肢筋力,さらに動作能力の回復過程を明確にする必要がある。しかし,THA術後の下肢筋力や歩行能力の回復過程を調査した報告は多いが,立ち上がりや階段昇降などの動作能力を定量的に評価した報告は少ない。本研究の目的は,THA術後における動作能力の回復過程を明らかにすることとした。【方法】対象はTHAを施行された46名とした。術後理学療法は当院のプロトコールにて行い,術後4週で退院となった。測定項目は,股関節屈曲角度,下肢筋力,歩行能力,動作能力とし,測定時期は術前,術後4週,術後8週,術後20週とした。下肢筋力は,股関節外転筋力,膝関節伸展筋力および脚伸展筋力を測定し,歩行能力は10m歩行速度,Timed up and go test(以下,TUG)を測定した。動作能力の評価として5回立ち座りテスト,階段昇降テストを用いた。股関節外転筋力の測定には徒手筋力計(日本MEDEX社製),膝関節伸展筋力および脚伸展筋力の測定にはIsoforce GT-330(OG技研社製)を用い,等尺性最大筋力を測定した。5回立ち座りテストは40cmの椅子から最大努力の速さで5回立ち座り動作を反復した時間を測定した。階段昇降テストは12cm段の階段5段を最大努力の速さで昇降した時間を測定した。統計は,各時期における測定項目の比較には一元配置分散分析およびFisherによる多重比較法を用い,統計学的有意基準を5%未満とした。【結果】股関節外転筋力(術前0.60±0.29Nm/kg,術後4週0.59±0.25Nm/kg,術後8週0.71±0.28Nm/kg,術後20週0.81±0.30Nm/kg)および膝関節伸展筋力(術前1.34±0.63Nm/kg,術後4週1.07±0.53Nm/kg,術後8週1.40±0.60Nm/kg,術後20週1.64±0.72Nm/kg)は術前と比較し術後20週で有意に高い値を示した。10m歩行速度(術前8.0±3.0秒,術後4週8.4±2.3秒,術後8週7.0±2.1秒,術後20週6.2±1.4秒),TUG(術前9.5±4.2秒,術後4週9.8±3.2秒,術後8週8.0±2.4秒,術後20週7.1±1.9秒)および5回立ち座りテスト(術前11.1±4.3秒,術後4週10.3±3.2秒,術後8週8.8±2.5秒,術後20週8.4±2.5秒)は術前と比較し術後8週で有意に高い値を示した。階段昇降テストは,術前8.1±3.6秒,術後4週9.0±3.7秒,術後8週6.9±2.6秒,術後20週5.8±1.6秒であり,術前と比較し術後20週で有意に高い値を示した。股関節屈曲角度および脚伸展筋力は,各時期で有意差を認めなかった。【結論】本研究の結果から,THA術後の歩行能力や立ち上がり能力は,術後8週には術前よりも有意に改善するが,下肢筋力,階段昇降能力は術後20週で術前よりも有意に改善していることが明らかとなったため,これらの結果を考慮した理学療法プログラムの作成が必要である。
  • 濱田 涼太, 南角 学, 島村 奈那, 村尾 昌信, 布留 守敏, 伊藤 宣, 中村 伸一郎, 栗山 新一, 松田 秀一
    理学療法学Supplement
    2016年 2015 巻 O-MT-02-4
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】変形膝関節症(以下,膝OA)患者の主な機能障害として,疼痛,膝関節周囲筋の筋力低下,関節可動域制限,膝関節のアライメント異常が挙げられる。近年,膝OAや人工膝関節置換術(以下,TKA)後患者の股関節周囲筋の機能低下についても指摘されており,その評価の重要性が増している。しかし,膝OAやTKA術後患者の膝関節機能と股関節周囲の機能の関連性について検討した報告は見当たらない。そこで,本研究の目的は,膝OA患者の膝関節の内反アライメントが股関節周囲筋の筋萎縮に及ぼす影響を検討することである。【方法】対象は内反型の膝OA患者41名(男性8名,女性33名,年齢75.6±7.1歳,体重62.2±12.2kg)とした。膝関節のアライメント評価は,立位レントゲン画像を用いて両側の内反角(大腿骨頭-膝中心を結ぶ線と脛骨の骨軸と平行で地面と垂直な線)を算出した。股関節周囲筋の評価として,CT画像を用い,仙腸関節最下端での水平断における画像から,大殿筋,中殿筋,腸腰筋,腹直筋の筋断面積を算出した。膝関節運動機能として,膝関節可動域(屈曲,伸展),膝関節筋力(屈曲,伸展)を測定した。膝関節筋力はIsoforce GT330(OG技研社製)により等尺性筋力を測定し,トルク体重比(Nm/Kg)にて算出した。統計学的処理として,同一被験者内で膝の内反角が大きい下肢と内反角が小さい下肢の股関節周囲の筋断面積,膝関節可動域,膝関節筋力の差を対応のないt検定で比較した。統計学的有意基準は全て5%未満とした。【結果】膝の内反角が大きい下肢の大殿筋2256.3±595.9mm2,中殿筋2324.7±455.6mm2,膝関節屈曲可動域120.4±15.4°,膝関節屈曲筋力0.44±0.26Nm/Kg,膝関節伸展筋力0.89±0.48Nm/Kg,内反角が小さい下肢の大殿筋2505.8±788.4mm2,中殿筋2457.5±396.1mm2,膝関節屈曲可動域128.5±15.1°,膝関節屈曲筋力0.55±0.21Nm/Kg,膝関節伸展筋力1.14±0.56Nm/Kgであり,内反角が大きい下肢の大殿筋と中殿筋の筋断面積,膝関節屈曲可動域,膝関節屈曲,伸展筋力は内反角が小さい下肢と比較して有意に低い値を示した。一方,腸腰筋と腹直筋の筋断面積,膝関節伸展可動域については,左右で有意差を認めなかった。【結論】膝OA患者の機能障害として,膝の内反角が大きい下肢では膝関節機能の低下が生じるとこれまで報告されてきているが,本研究でも同様の結果となった。また,股関節周囲筋の萎縮に関して,膝OA患者は両側罹患であることは多いが,本研究の結果より膝の内反角が大きい下肢では内反角が小さい下肢よりも中殿筋と大殿筋の筋萎縮が進行していることが明らかとなった。以上から,膝OA患者やTKA術後の運動機能の向上を図っていくためには膝関節機能だけではなく,股関節周囲筋に対する評価や介入が必要であることが示唆された。
  • 大島 洋平, 太田垣 あゆみ, 吉岡 佑二, 濱田 涼太, 梶本 泰志, 増本 枝里子, 芳川 豊史, 伊達 洋至, 佐藤 晋, 松田 秀一
    呼吸理学療法学
    2021年 7th.Meeting 巻 SJ-2-
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    ジャーナル フリー
  • 川原 一馬, 髻谷 満, 松村 佑介, 森 広輔, 大野 一樹, 大松 峻也, 豊田 裕規, 木村 弘, 千住 秀明
    呼吸理学療法学
    2021年 7th.Meeting 巻 SJ-1-
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    ジャーナル フリー
  • 佐橋 健人, 石田 知也, 松本 尚, 三上 兼太朗, 千葉 健, 山中 正紀, 青木 喜満, 遠山 晴一
    理学療法学Supplement
    2020年 47S1 巻 P-8
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    会議録・要旨集 フリー
  • 村尾 昌信, 南角 学, 濱田 涼太, 河野 拓巳, 栗山 新一, 中村 伸一郎, 松田 秀一
    理学療法学Supplement
    2020年 47S1 巻 P-7
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    会議録・要旨集 フリー
  • 天笠 陽介, 高田 知義, 黒岩 平, 佐藤 貴久, 木村 雅史
    理学療法学Supplement
    2020年 47S1 巻 O-190
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    会議録・要旨集 フリー
  • 河野 拓巳, 南学 学, 村尾 昌信, 濱田 涼太, 後藤 公志, 黒田 隆, 松田 秀一
    理学療法学Supplement
    2020年 47S1 巻 O-189
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    会議録・要旨集 フリー
  • 高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
    2023年 43 巻 1 号 65-66
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/04/24
    ジャーナル フリー
  • 玉井 由美子, 海道 利実, 加茂 直子
    学会誌JSPEN
    2022年 4 巻 2 号 72-78
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/06
    ジャーナル フリー HTML

    要旨:【目的】肝移植術前握力・術後握力の経時的変化,周術期栄養管理の関係について検討.【方法】対象は2013年1月から2020年2月までに当院で成人生体肝移植を施行し移植後6カ月以内死亡症例などを除いた125例.筋肉量は体組成分析装置,握力は握力計で評価.1)術前握力,2)握力の経時変化(全症例,年齢別,性別,術前握力別),3)術後1カ月の握力測定症例96例を術後早期栄養投与量推奨以上投与群・未満群で握力回復率を比較,4)握力回復率高値群・低値群で術後在院日数を比較検討.【結果】1)術前握力低値例は45例(36%)で,女性で有意に多く2)術後6カ月で術前値に回復,術前握力低値群で有意に回復が早かった.3)たんぱく質の推奨以上投与群は未満群より有意に握力回復率が高値であった.4)握力回復率高値群で術後在院日数が有意に短かった.【結論】生体肝移植術後早期の適切な栄養投与は,握力の早期回復および早期退院に寄与すると考えられる.

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