楽曲分析の一つとして, 旋律パターンを判別するための手法は旋律を比較する形で発展してきた。その多くの分析手法は目的毎に特異な分析形態をとっているのが普通である。本論文は, 日本の歌謡曲においては伝統的旋律の一つである演歌旋律パターンの類似関係について述べている。その類似関係の評価は旋律パターンのスペクトル傾度空間におけるファジィクラスタリングによって行われる。日本の歌謡曲531曲に適用したクラスタリングでは, 演歌と非演歌の二つのクラスタに大別できた。演歌が集群したクラスタ内の特徴ベクトルから演歌に共通する旋律パターンの特徴を類推する。更に, 旋律パターンのスペクトル傾度と旋律進行のお互いの関連についても議論する。
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