手遊び歌は,広まっていく過程で単純な曲に変化したり作者の存在が「不詳」になったりする傾向がある。本研究では作者不詳の手遊び歌を取り上げ,旋律やリズム,歌詞の特徴を分析した。その結果,これまでの手遊び歌の変化に関する先行研究で指摘されていたように,旋律が平坦化しリズムが単純化する傾向が見られ,子どもにとって興味を引きやすくかつ歌いやすい形に少しずつ変化していることが確認できた。考察として,保育現場において手遊び歌は保育者が何らかの教育的な意図をもって提示するものではあるが,手遊び歌が「遊び」として成立するには保育者と子どもとの相互的なやりとりが重要であること,そしてやり取りの中で楽しさを作り出す過程に意義があることを述べた。
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