大気中に存在する気相イオン(大気イオン)の挙動は大気中のエアロゾル粒子との相互作用に大きな影響を受けている。 電離によって生成した正・負のイオンはイオン同士の再結合やエアロゾル粒子への付着によって失われていく。 微粒子濃度がある程度以上の環境ではイオンの消滅はエアロゾル粒子への付着が支配的になり, 大気イオンの濃度や寿命はエアロゾル濃度によって決まる。 大気イオンは生成から消滅するまでの間に空気中の成分との反応によってその化学組成を変化させていく。 このような大気イオンはそれらを核とした粒子生成を誘発する場合もある。 本稿では大気環境におけるイオンと微粒子の相互作用について解説し, 室内環境でのイオンの挙動や性状について考慮すべき点についても触れる。
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