深在性真菌感染症患者より分離される真菌の多くはCandida やCryptococcus などの酵母様真菌である.それらの抗真菌薬感受性は菌種により異なることから,迅速な菌種同定が治療において重要である.今回,新規自動同定装置(BD Phoenix ID yeast)による臨床で高頻度に分離される酵母様真菌同定および同定所要時間に関する検討を行い,BD Phoenix ID yeast により同定された酵母様真菌106株とAPI 20C AUXとの 一致数および不一致数は各々97株(91.5%),9 株(8.5%)であった.両者での不一致9例のうちBD Phoenix ID yeast 5 例,API 20C AUX 1 例は遺伝学的菌種同定結果と一致し,残り3 例は両同定法と遺伝学的同定法で異なる同定結果となった.同定所要時間はC. albicans,C. tropicalis,C. parapsilosis の約60% の株は4 時間で同定結果が得られ,約8 時間ではこれらの菌種に加えC. glabrata を含む主要な4 菌種の約90% 以上が同定された.BD Phoenix ID yeast はAPI 20C AUX との不一致株に対して遺伝学的同定結果とほぼ一致し,約80% の酵母様真菌を8 時間以内に同定可能であることから,臨床で有用な自動同定システムであることが示唆された.
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