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  • 山室 真澄, 神谷 宏, 石飛 裕
    応用生態工学
    2012年 15 巻 2 号 221-231
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/24
    ジャーナル フリー
    対象水域の地形や構造などが大規模公共工事によって変化している場合,工事以前の状態に戻すことが自然再生にとって不可欠と主張されることが多い.しかし,当該工事から数十年経る間に生じた工事以外の要素も自然環境を改変していることから,地形や構造を戻すことで環境が戻るとは限らない.島根県と鳥取県に位置する中海は,干拓目的で本庄工区と呼ばれる水域が堤防で囲まれ,また中海本湖への海水の出入りは中浦水門を通じる工事が行われた.この堤防の開削は中海を元の状態に戻すことになり本庄工区と中海本湖の貧酸素化を緩和するとの見解と,開削は本庄工区の貧酸素化を強化するとの見解が対立したが,前者の見解を支持するシミュレーション結果が地域住民の気運に合致していたため,事業主体者は開削に踏み切った.本研究の結果により,開削によって本庄工区の貧酸素化は強化したことが確認された.また中海本湖の貧酸素化は工事以前から生じていたことが既報により確認できた.これにより,工事以前の状態に戻すことは必ずしも自然環境の再生につながらず,科学的な根拠に基づかない「分かりやすい主張」には慎重に対処すべきであることが示された.開削によって本庄工区や中海本湖の貧酸素化が緩和するとの自然科学の原理に反し,過去の記録とも矛盾したシミュレーション結果を提示するに至った過程の検証が望まれる.
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