本研究では,4-メタクリロイロキシエチルトリメリティックアンハイドライド(4-META)添加(MC)および2-ハイドロキシエチルメタクリレート(HEMA)添加(HC)ワンステップボンディング剤を調製し,ボンディング剤への水の添加量が歯質アパタイトの脱灰量および歯質接着性に及ぼす影響を調べ,4-META添加の効果をHEMAのそれと比較検討した.MCおよびHCボンディング剤への水の添加量を増加すると,歯質アパタイトの脱灰量は増加するにも拘らず,接着強さの向上は認められなかった.エナメル質接着の場合,MCおよびHCボンディング剤はともに約20MPaを示したが,象牙質接着の場合は,MCボンディング剤が約15MPa,HCボンディング剤が約13MPaを示し,MCボンディング剤はHCボンディング剤より高い象牙質接着性を示した.以上の結果から,遅延型アレルギーを引き起こす可能性のあるHEMAの代わりに使用するモノマーとして4-METAは有効であることが判明した.
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