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クエリ検索: "激動の昭和史 沖縄決戦"
2件中 1-2の結果を表示しています
  • 音響と配役を手掛りに
    羽鳥 隆英
    映画研究
    2019年 14 巻 4-27
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/09
    ジャーナル オープンアクセス
      本論は橋本忍の脚本を岡本喜八が監督した映画『日本のいちばん長い日』における昭和天皇表象の研究である。初めに 2019年現在の研究状況や岡本の作家的な経歴における天皇の問題を確認した上(第 I節)、劇中に張り巡らされた様々な水準のコミュニケーションに着目しつつ『日本のいちばん長い日』の長大な物語を整理した(第II 節)。次に映画大詰の玉音放送の場面を構成する映像=音響の相関性を精査し、先行の玉音放送表象などとも比較しつつ、『日本のいちば ん長い日』が試みる二重の異化と一重の相対化を指摘した(第III節)。さらに映画半ばの天皇による「大東亜戦争終結ノ詔書」の署名、玉音盤の吹込と特攻出撃の並行編集に焦点を絞り、第一に「サウンド・ブリッジ」を活用した音響設計(第IV節)、第二に天皇役の 8代目・ 松本幸四郎と特攻基地の指揮官・野中大佐役の伊藤雄之助の関係に着目しつつ(第V節)、天皇表象に暗示的に仕掛られた価値転覆性を指摘した。
  • 名取 雅航
    映像学
    2022年 108 巻 57-77
    発行日: 2022/08/25
    公開日: 2022/09/25
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は、アレクサンドル・ソクーロフ監督による『太陽』(2005年)の新たな意義を見出すことにある。これまでの歴史研究、またメディアおよび映画研究は、近代天皇が現実のレベルと表象のレベル双方においていかに隠されるべきものとして扱われてきたかを明らかにしている。そのなかで、映画において初めて昭和天皇(裕仁)を主人公として、また人間として描いた『太陽』は賞賛を集めてきた。一方で、その人間性は、侍従に対して冗談を言い、口臭を気にし、皇后である妻に手紙を認め、最終的に「人間宣言」を行うといったわかりやすいかたちにとどまらない、複層的なものである。本稿はまずその点について、〈見る/見られる〉、運動、演技という観点からテクスト分析を行い、本作における天皇の人間性が多様な映画的な手法と密接に結びついたものであることを明らかにする。また、そのような人間性の演出は、人間が天皇であり天皇は人間であるという事実の複雑性を示すにふさわしく、また両者を往還する存在としてこの主人公を立ち現わせることを可能にしている。天皇の人間性が決して自律したものではなく、天皇という役割と不可分の関係において描かれているのである。それらの分析と考察を通じ、『太陽』の意義は、天皇の「人間化」をあくまで現実的な交渉のプロセスとして表現することによって、天皇の人間性についての議論が伴う困難を観客に伝えることにあったと結論付ける。

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