本研究は,地域社会や学校現場との協働によって見出される‘経験的な学修’を,美術科教育における対話的な様相を考察することから検討するものである。本論で示す概念としての対話は,外的な場で他者と関わる領域に対して生成的なプロセスへ向かう相互作用に基づく自己形成への文脈を意味する。美術教育において,イメージとメディア(媒体)の間に社会的現実を再認識させるような経験の諸相には,造形したものから実感として身体化していけるような,媒体空間や創造的な学びの場が求められる。本論では,『小大(院)連携プログラムI「一新の夢獅子」』を事例として,このような学びが見出される文脈に対する感覚やイメージのあり様を考察する。そして,人間形成や美的な行為を涵養する美術科教育の目的において,媒体/場のあり方を検討し,対話的なメディアの表象における学修の可能性を追究する。
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