本研究は、阪神・淡路大震災以来、災害時の“障害”がどのように変遷し、未だに解決できない要因を明らかにすることを目的としている。先行研究をレビューして研究動向および今後の課題を述べ、災害時の“障害”の代表例として障害者団体から発信された緊急提言の変遷を整理した。そして、熊本地震における身体障害者の実態と課題を現地調査より把握した。その結果、災害時の“障害”は、すべての被災者の共通の“障害”として捉えられていないこと、そして当事者参画が成されていないことが解決できない要因であると考察した。インクルーシブな防災を実現するには、災害に備えた地域づくりに多様な人々が参画するプロセスが必要であると結論づけた。
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