冷涼な気候での栽培に適するとされるトウガラシ‘ロコト’および‘ぼたんこしょう’の機能性成分についての評価を行った.‘ぼたんこしょう’は辛味が弱く,カロテノイド含量は‘京波’と同等であった.また,総フェノール含量および抗酸化活性についてみると,緑色果実が特に高く,比較品種よりも優れ,かつ系統間変異がみられた.さらに,GABA含量はBK-4の赤色果実およびBK-2の緑色果実で比較的高い結果であった.‘ロコト’に関しては,カプサイシノイド含量は,系統間変異はあるもののいずれの系統も辛味は‘鷹の爪’より強かった.赤色果実系統のカロテノイドは‘ししとう’や‘鷹の爪’と同等であり,また,‘ロコト’の総フェノール量は比較品種より高く,GABA含量は比較品種と同程度の結果となった.以上のように,成分によっては比較品種より高いものや,系統間変異が認められたことから,今後はより多くの系統を収集・評価して,‘ロコト’および‘ぼたんこしょう’の冷涼な気候に適しているという形質に,高機能性という付加価値を付与した品種開発を進めていくこととする.
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