現在,大都市圏の鉄道整備は,社会的に必要であるものであっても,十分に行われない環境にある.その理由として,鉄道整備には膨大な費用を必要とすること,また沿線自治体,既存鉄道事業者等,関係者間の利害調整に大きな労力を要することが挙げられる.本研究では,新しい鉄道整備方策の枠組みとして公設民営による上下分離方策を検討する.上下分離方策では公共的な保有主体が鉄道を整備,保有し,私企業たる輸送主体が市場性を持った輸送サービスを提供することにより,社会的に必要な鉄道サービスが効率的に提供されうる.本研究では,輸送主体の参入方式,及び運賃の決定方式等の上下分離の枠組みについて具体的に検討した.
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