タイル張りの外壁は健全性維持のため,全面打診等による定期的な点検が建築基準法で義務付けられている.点検者が打診棒を用いて各タイルを診断する打診法は信頼性が高いが,中層階以上の打診には仮設資材などが必要であり,点検費用は建築物の管理者の負担となっている.また打音を判断するためには診断経験の豊富な熟練技能者が必要であり,点検員の確保も課題となっている.
著者らは,「ウォールサーベイロボ」など複数の専用機器を用いて外壁点検を行う「ウォールサーベイシステム
Ⓡ」を太平洋コンサルタント社,ダイヤモンド技建社と共同開発した.ウォールサーベイロボは屋上から吊り下げて外壁上を走査し,打診法と同じ原理での打診を高速に行うことで全面打診作業を大幅に省力化する.さらに,点検結果の記録作業を自動化するソフトウェアの開発を進めており,点検作業のさらなる省力化や点検員の熟練度に依存しない点検技術の実現を目指している.
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