本研究は,長い時間を必要とするために,学校現場では行いにくい遺伝の法則の検証実験を,コンピュータ上で模擬的に行うことができるコンピュータソフトの開発を行ったものである.開発した遺伝ソフトでは,ショウジョウバ工,マツバボタン(ジュエル),およびメダカを材料として,コンピュータの画面上で交配実験を行い,交配結果を写真で提示することによって,子に現われた優性の形質,孫に現われた優性と劣性のそれぞれの形質を確認することができるようになっている.特に,交配により孫に現われた優性の形質または劣性の形質を持つ個体の個体数を,マウスを用いて画面上で数えられるようになっている.本ソフトを用いて授業実践を行った結果,遺伝の学習に対する興味を持たせるのには有効であったが,遺伝の法則性の理解を深めさせるためには,孫の個体数を増やしたり,扱う生物の種類を充実させるなどの改善が必要であることがわかった.
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