最近の「教育改革」なるものの本質は、一部のエリート養成に主眼を置き弱者を切り捨てようとする点にある。定時制高校のように、システムの末端に位置する学校は容易につぶされようとしているのである。しかも、所謂「新自由主義教育論」の言説は、「自由」や「個性」あるいはまた「生きる力」などといった美名のもとに、教育の商品化・複線化・階層化を断行しようとしている点に特徴があるといってよい。授業では、メロスの愛と友情と信実の物語として流通する「走れメロス」をパロディ化し変形することによって、読みを二重化し、そこから深層の意味に迫ることを試みた。
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