切土法面勾配は設計指針等に示されている標準勾配を基準として決定される場合が多い。しかしながら, 東北地方の新第三紀層堆積軟岩地帯では不連続面を崩壊面とする初生的な岩盤崩壊が数多く発生している。筆者らは新たに考案した簡易原位置せん断試験方法を用いてさまざまな不連続面のせん断強度を測定し, これまでその一部を報告してきた。本研究ではこれまでの岩盤崩壊事例の観察結果より, 崩壊や不連続面の形成に関する地質素因を整理し, その結果を基にこれまで得られた不連続面のせん断強度に関して検証し, 考察を行った。その結果, 東北地方の新第三紀層における, 主として層理面のせん断抵抗角は設計指針等に示されている新第三紀層軟岩の切土法面勾配より小さい値を示すものが多いことが明らかになった。
以上は, 東北地方新第三系の軟岩を対象とした切土法面の安定性を定量的に評価する上で重要な指標になると考えられる。
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