内観でおこなわれる面接には, 内観者と面接者の間に, 単なる治療構造としてだけでは捉えられないものがある。そこに内観法創始者吉本伊信先生の心ともいうべき, 内観法の本質をかいま見ることができる。見ず知らずだった面接者に自分の内心を打ち明ける関係, 屏風で仕切られながら他の内観者と共存している関係, 面接者がおこなう礼拝の儀式の意義, 内観者と面接者との間に生まれる共感など。これらの問題を, 面接者と内観者の関係として捉え, 面接の実践からみえるものを論ずることを本論の目的とする。
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