「韓国宗教」は通常、韓国の巫俗をはじめ、儒教、仏教、道教、キリスト教及び「新宗教」などの諸宗教の単なる寄せ集めにすぎないと思われがちだが、正確には、個々の宗教伝統の枠の中で発現し、時代ごとに変容してきた韓国人固有の宗教(心)性そのものを指すと言うべきであろう。近代における社会分化の変化とともに、「韓国宗教」という概念は結果的に縮小され、純粋化されてきた。さらに、この概念は大衆化されたとともに、東アジアの局地性を越えて、明らかにグローパルな様相を帯びるようになっている。二十世紀以降、着実に発展してきた「韓国宗教学」は、根本的な宗教性をもち、比較を通じて明確になった普遍性と同時に、固有性をも有する韓国宗教の諸相を研究の主要テーマとしてきた。将来、韓国宗教の研究は、日本を含む東アジア諸国の宗教経験に基づく-研究との比較の地平を積極的に共有することが期待される。さらに、韓国宗教学は世界規模での宗教学、「世界宗教学」の再構成に参加すると同時に、韓国宗教固有のアイデンティティをより深く探究することにもなるだろう。
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