国際河川であるメコン川の流域に超大国である米国が急速に接近し始めている.オバマ政権発足後,米国の外交政策が「アジア回帰」に転換したことの一環だが,その目的の一つは,東南アジアに多大な影響力を及ぼす中国を牽制する意図がある.非流域国である米国の関与は,ミャンマーの民政化の進展でさらに拍車がかかった.こうした中,中国は相次いでダムを建設するなどメコン川の一方的な水資源の利用により,下流国が批判の声を強めつつあることで,メコン川流域では緊張の度合いが増しつつある.国際社会は依然として「力の政治」が一面で支配しており,国際河川の利用をめぐっても,こうした超大国の動向は,国際機関を軸とする国際的協力枠組みを分析する以上に重要な要因である.
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