大原美術館が1993年から行っている幼児対象プログラムのうち,絵画鑑賞プログラム「お話作り」について,14年間の実施記録をもとに考察した。幼児は,生活体験と想像力を加味しながら,能動的に絵画鑑賞が出来る。「お話作り」は,幼児の発達段階に応じた絵画鑑賞の1つの形であり,幼児なりに作品を理解し味わうために適当であると言える。活動を通じ,幼児は絵画と関わり,思考,想像,言語,表現及びメタ認知能力の発達が促進されている。幼児の発達は,保育施設や家庭での活動と関連しながら螺旋状に循環しつつ発達する。「お話作り」も,単独で成り立つものでなく,他の活動と連動する。
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