院内感染予防対策の一助として抗菌加工製品に着目し, まず
in vitroの実験として, Methicillin Resistant
Staphylococcus aureus (以下MRSAと略す) の菌液を抗菌加工されている布と加工されていない布に接種し, MRSAの菌量の変化を比較した.また, 集中治療部 (以下ICUと表す) で抗菌加工リネンと一般リネンをおのおの半年間使用し, MRSA感染患者発生率を比較し臨床的有用性を検討した.
1)
In vitroの結果は, 糊付けをしていない抗菌加工布の場合には一般の抗菌加工されていない布に比べMRSAの菌量は有意に減少し, 抗菌効果が認められた.しかし, 糊付けをすると抗菌効果は減弱した.
2) 臨床においては, 糊付けを行っていなかったにもかかわらずMRSA感染患者発生率からは有意な効果は得られなかった.このことは, ICU入室後MRSAが検出された患者数が両期間とも少なかったこと, また院内感染は種々の要因が関与して起こるものであり, 抗菌効果のある布を使用しただけでは防ぐことはできないためであると考えられた.
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