本稿は、日本の初等・中等教育の図工・美術におけるアニメーション教育の歴史的変遷を明らかにすることを目的とした一連の文献研究における第三部であり、小学校の図工教科書、中学校の美術教科書に続き、高等学校の芸術科の美術教科書を対象として行った調査の結果を検討する。1950年代から2010年代までに出版された計113冊の教科書から44件の題材を抽出して分析を行い、1972年にアニメーション題材が初出して以来、一貫して「メディア教育」と「視覚的コミュニケーション教育」という2つの教育的なねらいがあったこと、また2000年代以降にはアニメーション題材の件数が急増すると共に「構成教育」「創造性教育」「協調的コミュニケーション教育」にねらいの射程が広がったことが示された。
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