本稿は、スピリチュアリティ研究の対象としてよく取り上げられる、オルタナティブな食実践における身体観を取り上げ、そこに見られる〈現代の社会システムのなかで流布している通常医療や科学の言説における身体観を乗り越える〉という言説について検討を加える。
食を含むオルタナティブな療法や身体実践においては、身体を「自然なもの」と見て、それを見つめ直すことにより、より良い身体やライフスタイルを作り上げることが提案される。しかしそもそも、言説から切り離された白紙の身体というのは有り得るのか。本稿ではこの点を検討すると同時に、実践者たちにとって重要なのは、自分自身やライフスタイルを再帰的に見つめ、管理し、絶えず作り直していくツールを消費し共有することであることを示す。
抄録全体を表示