1.はじめに
日本農村医学会の特別研究プロジェクト「農村地域における食と生活と健康に関する研究」として全国19施設で食に関するアンケートを行った。調査対象者は、男2597名、女2830名、計5427名である。
2.疾病内容について
調査の中で、疾病の既往と現在の
病気
について質問したが、これに基づいて、対象者を「
病気
なし」と「
病気
あり」の2群に分け、男女別に検討した。
病気
有無について記載のない例は対象から除外した。
病気
有無の年代別相違をみると、年代と共に漸増性に
病気
有が増加しており、50歳代で、
病気無と病気
有が同程度だった。
病気
有の例について、男女別に疾病内容(5位まで)をみると、男で、高血圧20.0%、高脂血症6.0%、整形外科疾患5.3%、糖尿病4.9%、眼科疾4.5%、女で、高血圧17.8%、整形外科疾患9.4%、高脂血症8.4%、糖尿病3.9%、耳鼻科疾患3.3%の順であった。
癌の頻度をみると、男5.4%、女7.0%で、年代による上昇傾向が顕著であった。癌の部位別事例数(5位まで)をみると、男で、胃56例、前立腺36例、大腸34例、肺13例、肝臓8例、女で、子宮75例、胃43例、乳房38例、大腸26例、卵巣16例の順であった。
3.
病気
有無別の検討
上記調査対象者中、
病気
の有無について
記載のない例を除いて、性・
病気
有無別に、各質問項目の調査結果について検討した。
男で、
病気
無1378名、有1146名、女で、
病気
無1407名、有1327名である。
病気
有無別の年令分布をみると、明らかに、高齢者程、
病気
有が多いので、以下の結果を解釈するに際しては、年代による相違を反映していることを十分考慮する必要がある。
自覚的健康度についてみると、「健康だと思う」の率は、
病気
無で、男30.2%女37.1%、
病気
有で、男16.0%女16.6%で、予想通り
病気
無で高かった。運動不足感は
病気
無で、男24.0%女30.8%、
病気
有、男19.1%女23.6
%より高く、運動習慣でも、
病気
有が、男50.1%女48.2%と、
病気
無、男42.1%女36.2%より明らかに高く、疾病を持っている人程、運動を心がけている傾向がみられた。
食事回数では、食事2回が、
病気
無で、男12.3%女7.1%と、
病気
有、男6.6%女3.4%より高かった。外食しない率は、
病気
有で、男23.8%女30.9%で、
病気
無、男14.0%女17.2%より明らかに高値だった。レトルト食品を利用しない率は、
病気
有で、男22.8%女26.9%、
病気
無で、男15.8%女15.3%で、
病気
有で高値だった。
病気
有の人の方が、食生活への留意がされている様子だった。食の不安に関し最も感じることでは、「食品の安全性」が、
病気
有で、男44.5%女58.2%で、
病気
無、男36.9%、女51.5%よりかなり高かった。現在の食生活への満足度については、「満足している」が、
病気
有、男42.1%女33.9%、
病気
無、男37.9%女30.4%で、
病気
有で高かった。地産地消の実践についても、「協力実践している」が、
病気
有、男63.9%女72.5%、
病気
無、男50.6%女60.5%で、
病気
有で有意に高かった。農業実践についても、「是非食べ物を作ってみたい」が、
病気
有で、男44.1%女41.1%、
病気
無で、男36.4%女31.3%で、
病気
有で有意に高かった。
4.まとめ
今回の食に関するアンケートで、性・
病気
有無別に各調査項目について検討すると、
病気
有の人が、
病気
無の人より明らかに食生活改善の意識が高く、現在の食生活に満足している様子がみられた。地産地消についても、
病気
有で、実践度が高かった。
病気
有の人は、高齢者が多いとはいえ、この事実は注目すべきものがあると思われた。
抄録全体を表示