1998年に行った針刺し・切創に関する実態調査により,病院における清掃従事者が針等による受傷が発生していることが判明した.この結果を基に,清掃従事者への針刺し等受傷防止のための教育に努めてきたが,現状を把握するため,再度実態調査を行った.
2009年に医療関連サービスマーク認定事業者全1,368社にアンケート用紙を郵送し,340社より回答を得た(回収率24.9%).アンケートの結果,教育体制については整いつつあるものの,針刺しの発生状況はわずかに増加していた.原因機材としては,注射針についてインスリンの針があげられており,多種多様化した針を清掃従事者が針だと認識できずに受傷していることもわかった.また,清掃従事者の多くはパートタイマーであり,人員の交替が多く,ワクチン接種等があまり実施されていないことは,今後の課題と考える.
今後は清掃従事者への針刺し防止のための具体的な教育をさらに徹底するとともに,医療機関等とビルメンテナンス事業者との協力体制を整えていくことが不可欠である.
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