本研究は,作家及び教育者モホリ=ナジの造形教育理論を,光の造形との関わりに注目しつつまとめたものである。The New Visionを基に彼の予備課程での教育理念,内容について考察した結果,それらは,人間の造形行為の本質に立ち返り,新たなものを生み出すため,偶然にではなく,確実に行える「標準」を獲得することを目指したものであることがわかった。また,彼の光の造形活動は,光の造形を分類,定義するものではなく,光の扱い方を段階的に理論化するものであり,体験を重ねることによって芸術と技術の有機的な結び付きが可能となるものであった。彼の実践が,造形活動を通して新たな理論を構築する可能性を提示するものであったことを明らかにした。
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