2011年3月11日の東北地方太平洋沖で大震災によって福島県は最大震度6強を記録し,広い地域で5強以上となり,多くのため池の堤体で損傷を受けた.特に藤沼ダムは決壊し,7の犠牲者と1名の行方不明者を出した.藤沼ダム決壊による犠牲者8名は,平時であれば大災害であり,岩手,宮城,福島での「津波以外の犠牲者」の5分の1から4分の1を占めるものである.藤沼ダム,羽鳥ダム,西郷ダム,赤坂ダム,
矢の目ダム
,岩部ダム,風兼ダムを調査した.そのうち,藤沼ダムは決壊,他は堤体の一部損傷を受けた.震災当時は代掻きに備え,ほとんどのダムが満水であった.損傷した堤体には,多数の亀裂があり,噴砂の跡も見られた.複数同地区のダムの被害調査によって,藤沼ダム崩壊の原因として3つが推測された.地震動による法面崩壊,液状化による崩壊,異なる土層間の滑りである.
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