本発表では、生徒たちの防災意識が向上するための、GISを活用した教育プログラム手法について報告する。近年、全国各地で発生する様々な災害において、被災者自身による迅速で適切な判断が求められることが多い。学校教育においても防災スキルの取得を通じた人間教育の必要性は年々高まってきており、2022年には高等学校で地理必修化され、「防災」が1つの柱となっている。そのため小学校や中学校においても、防災教育の実践が高まりつつある。防災教育は、避難訓練をはじめ、地域調査をふまえ地域の特性を学び、課題を見いだし解決策を考えていくなどお互いの考えを議論しながら行われることが求められ、主に中学校の地理的分野での実践が多く挙げられている。また、もう1つの柱として「GIS」がある。社会科教育において空間的思考力や地理情報の処理などGISを活用した授業実践が求められている。しかし、実際にGISを操作して授業を実施している教員は少ない。そこで、学校教育において生徒たちの防災意識向上を目的とし、
神戸市立伊川谷中学校
(指導プログラムの考案、実践指導を担当)と特定非営利活動法人伊能社中(GISおよびICT機器の操作支援)の協働によるGISを活用した防災教育プログラムの実践を行う。本プログラムで使用するGISソフトは、「ArcGIS Online」のストーリーマップ作成機能である。地域の人口や地形データなどを可視化や、様々な情報をレイヤーごとに重ねることができるため、空間的思考力が身につくなど生徒たちから新たな視点での発見が生まれることを期待する。効果の測定として、プログラム前後でのアンケートを用いる。GISを取り入れたプログラムを実施することで、分かりやすかったなど定量的データから、より地域の特性を理解することができたなど定性的データなどから、生徒たちにどのような効果をもたらすのかはかることができると考える。GISを取り入れたことで、「より分かりやすく地域のことを理解できた」など、生徒たちから前向きな意見を得られれば、本発表はGISを用いた防災教育の手法の1つとして期待される。
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