都市公共空間において,位置同定,経路選択の大きな手がかりとなる要素にサインがある。しかし,複雑で高密度化した空間では役立つはずのサインが乱立し,広告等の行動決定には不必要な情報も氾濫していることからサインによるわかりやすい情報提供が重要となっている。
本稿ではサインによる誘導という観点から,既設サインの連続性と人間行動との関係について明らかにすることを目的とし,既往の研究で使用した空間構成要素表記法CONTINUOUS RECORDを改良し,本表記法を用いたサインによる誘導に関する検証結果について述べる。
調査の結果,代替視野画像より集計した実空間のサイン数及び表記抽出数との間に差異が認められる事例がみられた。また,誘導サインの連続性に問題があるため,利用者が歩行を妨げられることなく目的地へ向かうことが困難となり,利便性が大きく損なわれていると考えられる空間が多くみられた。このような状況から初めて福井駅を利用する人にとっては空間位置の把握すら困難になることも考えられ,利用者にとって必要な情報を提供する誘導サインの見直しを検討するべきではないかと思われる。
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