海岸付近で発生する水難事故では,沖へ流される離岸流が原因の1つと考えられている.離岸流は波高に応じた規模の流速となり,海水浴が可能な低波高時においても離岸流は発生しており,最近の研究成果では,足がぎりぎり届く水深域において,低波高で発生した弱い離岸流に逆らえずに流され溺水する事故例も報告されている.本研究では,徒歩や遊泳など海水浴中の様々な水中移動方法での移動速度を把握し,それぞれの移動方法が対応可能な離岸流流速を把握するとともに,その流速を発生させる波高を把握した.また,離岸流に流された場合の離岸流場内の漂流状況や海面の状況を漂流者目線で把握した.最後に海岸ごとに発生する離岸流の流速を波高と海底勾配から簡易的に推算する手法について各パラメータの再検討をおこない,推算精度を向上させた.
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