八千代の丘美術館は,展示施設15棟のアトリエ棟の内,企画展示棟を除く14棟をそれぞれ14人の作家に割り当て,1年間の個展を開催させている。入館した作家はアトリエ棟での個展を開催するだけでなく,ワークショップを開催したり,地元の小中学校へ絵画などの指導に赴くという活動を行っている。本稿は,教育普及活動や生涯学習の拠点としての美術館のあり方を議論する上で,全国でも例を見ないこの美術館のシステムに注目し,作家と連携した教育普及活動について,アンケートや聞き取り調査を元に検討するものである。はじめに美術館や来館者の実態を捉え,次に作家と連携した教育普及活動について検討する。最後にこの教育普及活動の成果と課題をまとめ,今後の展望について述べる。
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