秋田県肝胆道癌研究会は1 9 8 5 年以降,秋田県における肝胆道癌の診療状況を把握するめにアンケートによる症例集積を継続してきた.17年間の胆道癌の集計(85~89年の前期と90~01年の後期に区分)を総括し,地域単位での症例集積の意義,秋田県における胆道癌診療の問題点を検討した.調査を依頼したほぼ全ての病院から症例が寄せられ,胆管癌946例,胆嚢癌731例の計1677例が集計された.胆管癌切除例の治療成績は全国集計の5年生存率を約10%下回った.全国集計と比べ根治度Aの手術が少ない傾向を認めた.胆嚢癌ではm,mpの5年生存率が75%,56%と低かった.本調査を通じて地域における胆道癌診療の実態と問題点が明らかになった. 胆道癌のように頻度が低くかつ診療に高度な技術が要求される疾患を地域で扱ううえで,診療科を超えた枠組みを基盤に行った本集計は特に有用であった.
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