本稿は,対話リフレクションから表出した意思決定に関わる場面を取り出し,意思決定に関わる教師の知識,信念について考察することを目的とする。事例として,初任者研修における授業省察場面を取り上げ,知識,信念,ねらいの観点から授業者の意思決定の認知的側面を分析した。さらに,知識,信念について分析カテゴリーを設定,分類し,意思決定との関係について考察した。意思決定力は,教師の力量として重視されるため,意思決定を支える知識,信念について考察することは教師教育の視点からも意義ある活動といえる。プロトコル分析から,意思決定は,授業者の知識と信念の影響を受け,翻案の段階から行われていることが示された。また,自らの意思決定に対する改善点,反省点についての発話から,新たな実践的知識が形成されていく様子が明らかになった。
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