目的
近年、小児の医療技術の進歩や在宅医療の推進で、医療依存度の高い子どもの在宅移行が進んでいる。本研究では、医療的ケアが必要な在宅療養児を育てる母親の育児ストレスを明らかにする。
方法
インタビューガイドを用いた半構成的面接を行った。面接回数は1人1〜2回、時間は1回60分程度とした。分析方法は、録音した音声データすべてから逐語録を作成し、母親の育児ストレスを表している部分を抽出し、質的記述的方法で分析を行った。分析の過程においては、信頼性と妥当性を保持するために研究メンバーで合議を行い、データの妥当性を確保した。
倫理的配慮
対象者には、研究の目的や方法、回答の自由、データ処理や管理方法、プライバシーの保護、不参加や途中辞退においても、現在受けている治療等に影響がないことや不利益が生じないことを、直接口頭と文書で説明した。その上で、同意を得られた対象者と同意書を交わして実施した。なお、本研究は、協力病院の倫理審査委員会の承認を得て実施した。
結果
分析の結果、母親の育児ストレスは118コードから68の要約コード、20サブカテゴリーが得られ、①【母親の疲労】、②【母親の孤独】、③【足りないサービス】、④【サービス利用に伴う負担】【サポートの実態への不満】、⑤【申し訳ない想い】【将来への不安】の5つのカテゴリーが抽出された。
結論
育児ストレスの特徴は、①母親が過度な負担を強いられている状況、②母親一人が児の育児を担わざる負えない状況に陥りやすい、③社会資源が活用しにくい状況、④社会資源の活用を母親自身でコーディネートしている状況、⑤子どもやきょうだいに申し訳ない想いを抱き、不安な将来を憂いている状況が明らかとなった。これらの特徴をふまえた支援システムを構築し、個々の状況を的確に把握し、ニーズに応じた支援をするというオーダーメイド的な関わりを継続していくことの必要性が示唆された。
申告すべきCOIはない。
抄録全体を表示