目的:本研究の目的は、看護学生の急変対応時に生じる生理的・心理的な生体反応について明らかにすることである。
方法:対象者は看護基礎教育課程において、すべての領域の看護学実習を履修した看護学生13名とした。急変対応は、臨床現場での状況をシミュレータで再現した。データは、急変対応時のプロセスにおける自律神経活動、脳波を測定し、急変対応前後では唾液アミラーゼ、状態不安を測定した。データの分析は、このプロセスを安静期間(R期)、急変に気づくまでの実践期間(P期)、急変に気づいてから初期対応までの期間(NR期)に分類して比較分析した。
結果:生理的反応は、R期に比べ、NR期において副交感神経活動の指標であるHF は720.89ms2 より144.57ms2 と有意に低下しており (p<0.01)、交換神経の指標であるLH/HFは0.95より3.40と有意に上昇していた (p<0.01)。脳波はR期9.20 (積分値/3 秒)に比べ、P期・NR期それぞれで21.85 (p<0.01)、21.10 (p<0.01) と有意に上昇しており (p<0.01)、脳活動が活発化していた。心理的反応は、実験前から実験後にかけての状態不安の得点が有意に上昇しており、急変対応を実施することで不安感が増強していた。
結論:本研究における急変対応時のプロセスにおいて、急変の認識という外的刺激が加わることで、交感神経活性、不安感という生体反応が認められた。
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