初の電子・陽子衝突型加速器であるHERAにより,高エネルギーでの陽子の描像に新しい知見がもたらされた.2007年に運転を終了したHERAの15年にわたる成果を,陽子構造に絞って述べる.これらHERAの結果は,運転を開始したばかりの次世代エネルギーフロンティアであるLHC加速器での新物理の探索に不可欠の基本情報でもある.また,陽子・陽子衝突に加え,電子・陽子衝突でもTeVエネルギー領域を探索する重要性から,LHCでの電子・陽子衝突の計画も進んでいる(LHeC).HERAで開拓された高エネルギー陽子の研究が,LHC,LHeCでどのように発展が期待できるかについて述べたい.
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