本研究の目的は, 血液透析療法中患者に加える振動の効果を循環動態の指標から明らかにすることであり, 全身への影響と下肢循環への影響を測定し, 安全性を確認した. 対象者は成人透析患者8 名. 研究デザインは準実験 ・ 比較研究で, 実験的操作は血液透析中に加える下肢振動であり, コントロールは同一対象者の通常の血液透析療法 (振動付加なし) であった. 循環動態は上肢血圧 (BP), 下肢末梢循環は足背部経皮酸素分圧 (TcPO
2) を指標とし, それぞれ変化量 (Δ) を比較した. ΔBP は振動群のほうが変動は少なかったが, 有意差はなかった. 足背部 ΔTcPO
2(平均 ±SD) は, 振動終了直後/30 分後 /60 分後において振動群 8.2±9.0/8.3±11.3/6.9±13.2 mmHg, コントロール群 3.0±7.2/1.0±7.6/- 1.2±11.4 mmHg であり, いずれも振動群が上昇していた. 振動終了後少なくとも 60 分は効果が持続すると考えられ, 振動の血液透析患者への下肢末梢循環促進法としての安全性と有効性が示唆された.
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