最近福島県いわき市の
背戸峨廊
の土壌から分離した35菌株を調べた. その中から国内では報告例の少ない不完全菌4種と子嚢菌1種を報告する.
Cylindrocarpon didymum はcholin oxydaseの酵素学的研究との関連で国内で初めて報告 (Taniら1979) された. 円筒形2胞の大形と楕円形の小型の分生胞子, 連鎖した厚膜胞子を形成する.
Epicoccum nipponicum はMatsushima(1995)が命名した菌で, 国内では原著以外の報告は見当たらない. 主として3胞のムリ型胞子と分生子座を形成する.
Fusarium ciliatum は, 小笠原の土壌から分離され報告 (Watanabeら 2001)されたが, その後の報告がない. 大形分生胞子のみを形成し生育が遅い.
Gliocephalotrichum simplex は暗黒のコロニーを形成し生育が速い. 沖縄土壌からの分離菌として最近の報告 (Watanabe and Nakamura 2005) がある.
Nectria asakawaensis は、Watanabe(1990)がナラタケの根状菌糸束から分離し命名した子嚢菌で, 洋梨形の子嚢殻と長楕円形の子嚢, 楕円形2胞の子嚢胞子を形成する. 不完全時代は形成しない.
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