(背景と目的) 性機能質問紙は, 患者の自覚症状を具体化あるいは数量化可能な点で, 性機能障害の診断, 治療効果の評価に有用である. 今回我々は札幌医大式性機能質問紙を用いて性機能障害患者と正常者の回答得点を比較検討し, この質問紙の妥当性について検討した.
(対象と方法) 性機能外来初診患者335例を性機能障害群, 一般に性機能正常と思われる20代, 30代の成人病検診受診者490例を正常群とした. 2群間において各々の質問項目における平均回答得点を比較した. また判別分析を用いて2つの群の判別により寄与率が高い質問項目について検討した. さらに求められた分類関数を用いて対象を分類し, 予測された分類の判別的中率を求めた. また性機能障害群において, 4週以内に再度回答の得られた24例を対象に2回の回答得点の相関係数を求め, この質問紙の再現性について検討した.
(結果) すべての質問項目において, 性機能障害群の平均回答得点は正常群に比べ有意に低かった. 判別分析では, 全11項目中9項目が2つの群の判別に有用な変数となり, 勃起頻度, 陰茎硬度, 勃起持続時間の質問で判別の寄与率が高かった. 分類関数により対象を分類すると, 予測された分類の判別的中率は93.5%であった. 再現性においては, 2回の回答得点の相関係数は平均0.779であった.
(結論) 札幌医大式性機能質問紙は, 性機能障害患者と正常者の判別が可能で, 妥当性を有すると考えられた.
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