本稿では,生物多様性に関する国際議論や科学的議論について,本特集のテーマである30by30 目標を中心に概観した。はじめに,IPBES が公表した地球規模評価報告書や生物多様性条約事務局が公表した地球規模生物多様性概況第5版を中心に概観し,2020 年までの生物多様性に関する国際目標である愛知目標が達成されず,生物多様性の損失が進行している現状を解説した。次に,ポスト2020 生物多様性枠組や30by30目標の議論の経緯や,関連する国際的議論の概要について述べた。最後に,30by30 目標の国際的議論における留意点として,面積(量)を目標に掲げることの弊害,経済的立場による国同士の利害の対立,先住民等への配慮,科学的根拠の4 点について触れた。
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