A市養護教諭会では、同じ健康課題を抱えた学校区で2012年4月から2017年3月まで7つの班に分かれ養護実践を行った。本研究は、その一部の2014年当時小6、中2であった児童生徒等に対して行った養護実践(養護教諭87名)の取り組みを通じて養護教諭自身が必要と感じている企画力・連携力に変化がみられるかを検討することを目的として実施した。養護教諭個々の企画力と連携力の変化と、健康課題別に集まり実践したことによるマネジメント力の変化との関連を、記名式個別意識調査(3件法、向上群と非向上群)と記名式自由記述調査(カテゴリー化)により分析した。その結果、企画力向上を目標とした班の企画力向上の平均値は連携力向上を目標とした班の連携力向上の平均値よりも高かった。また、企画力向上を目標とした5つの班全ての企画力が向上した(p<.01)。次に、企画力向上を目指した班と連携力向上を目指した班を比較すると、企画力向上を目指した班の方が向上したい力が上がった(p<.01)。これらの結果から、企画力と連携力はいずれも向上するが、共通の健康課題がある養護教諭が連携し、情報を共有し学び合い、自校に合った企画をすることで企画力のほうが向上しやすい。また、連携力は、養護教諭が児童生徒や教職員に直接働きかける過程で、様々な教職員との関わりが発生し向上すると考えられるが、組織全体へのマネジメントや、保護者や外部機関が対象の場合、連携力が向上したと感じにくい。今後も研修や実践を積み重ね、マネジメント力を向上させ、健康相談活動を充実させることが課題である。
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